世界自然遺産・東洋のグランドキャニオン「武陵源」ガイド
みなさん、張家界(ちょうかかい)って聞いたことありますか?または武陵源(ぶりょうげん)は聞いたことありますか?2つの名前を聞いたことない方も映画「アバター」のモデル地ならピンとくる方もいるのではないでしょうか。
最近テレビでも多く取り上げられていますが、世界遺産なのにまだまだ日本では知名度の低い張家界。スリル満点!山の上の桟道がなんとガラス張りになっていたり、市街地の上を堂々と通るアジア一長いロープウェイやアジア最大級の鍾乳洞、世界一高い外付けのエレベーターなど、ダイナミックな見どころ満載なんです!もちろん自然豊かな絶景も多く残っていて、一生に一度は見ておきたい。でも、実際どんなところなの?どうやって行けばいいの?と不安な方も多いのでは。今回は、そんな張家界まで行き方や見どころをわたしの体験も踏まえてたっぷりご紹介します!これを読めば、あなたも絶対行きたくなるハズ!
目次
1. 張家界(ちょうかかい)ってどんなところ?
中国湖南省北西部にある緑豊かな街。岩手県とほぼ同じ大きさで、人口は約172万人。土家(とぅちゃ)族や白(ばい)族、苗(みゃお)族などの少数民族が多く暮らし、総人口の77パーセントを占めています。また、多くの観光資源が集まっていて、市内にある武陵源風景名勝区は世界自然遺産に登録されています。2008年の映画「アバター」のモデルの地とも知られ、近年、国内外から多くの観光客が集まり注目を浴びています。日本では、直行便が運航されていないこともあり、あまり知名度は高くないですが、中国現地駐在員やバックパッカーなどに多く知られ、近年はテレビで取り上げられるなど人気が上がってきているところです。街全体に自然が多く残っており、自然豊かな観光が楽しめます。
2. 張家界まではどうやって行くの?アクセスガイド!
張家界空港までは、残念ながら日本から直行便は運航されていません(2018年現在)。中国国内での乗り継ぎですと上海経由が便数も多く便利です。今回は、関空より上海経由で張家界に行ってきました。その他、東京からだと広州経由や武漢経由などで来る方も多くいるようです。実際、中国での乗り継ぎはどうやってするの?張家界空港はどんなところ?って方もいるかと思います。詳しくは、下記の体験記でご紹介します!
3. 世界自然遺産「武陵源」へ行ってきました。
映画「アバター」を見てからずっと行ってみたいと思っていた武陵源。最近はテレビでも取り上げられるようになって行きたい欲がどんどん湧いてきました!ということで、思い切ってお休みをもらい、5日間で武陵源(張家界)とその近郊を堪能してきました。武陵源、そこはテレビでもガイドブックでも収めきれない大自然と中国のスケールの大きさを感じることができました。そんな張家界をほんの少しご紹介します!
3-1.1日目:「上海経由で張家界へ」
上海浦東空港へ到着後、第2ターミナルの国内線へ移動&出発!わたしは乗り継ぎに時間があったため、浦東空港第1ターミナルに到着後、預けた荷物を一度受け取り、第2ターミナルの国内線カウンターへ移動して再度チェックインしました。その後、安全検査をして搭乗口で待っていると、なんと搭乗の30分前に搭乗口が大きく変わったので、最後まで油断は禁物!変わったことに気がつかなかったら、最後、変更した搭乗口まで猛ダッシュをする羽目になるところでした・・・(アナウンスはもちろん中国語と英語のみ)。中国ではよくあることなので、アナウンスと搭乗口は常に要チェックを!
上海→張家界への移動:上海航空/FM9343便 上海 18:05-20:35 張家界
浦東空港の搭乗口から飛行機まで、ながーくバスに乗ったので軽く浦東空港内を旅した感覚を味わえます。上海航空の機内はというと、さすが世界遺産!張家界へ向かう観光客で満席でした。欧米の方も日本人も多く見受けられました。上海航空の機内は、シートモニターがないので約2時間半のフライト対策は必須!離陸から1時間後くらいに機内食サービスが回ってきます。国内線なのにまあまあしっかりした機内食で、わたしの時はミートボール丼のようなものでした。味は可もなく不可もなくでレトルトの中華料理って感じです。
ほぼオンタイムで張家界空港に到着し、空港出口でガイドさんと合流してホテルへ。張家界空港は綺麗で広かったですが、出口はこじんまりとしていてガイドさんとの合流はわかりやすかったです。
張家界空港の周りは静かな雰囲気でさすが自然遺産の張家界!と思っていましたが、車で走ること10分で急に繁華街になり、ホテルや飲み屋とかで明るく賑わってきます。わたしが泊まったホテルはそこからさらに車で約10分くらいのちょっと離れたこところでしたが、隣にスーパーもあり便利でした。
明日からガッツリ観光のため早めの就寝。張家界の街は、緑や川に囲まれとても自然溢れ、空気もとても澄んでいました。
3-2.2日目:圧巻の世界自然遺産「武陵源」へ
8時頃にホテルを出発して、車で10分ほどで世界自然遺産「武陵源」に到着です。武陵源にはいくつか出入り口があるのですが、わたしが使ったゲートは「武陵源ゲート」。お土産屋が並ぶ道を進むと大きな広場が出てきて、武陵源へ入ることができます。武陵源内は主にシャトルバスでの移動。まずは、15分ほどシャトルバスに乗って、ロープウェイ乗り場へ。武陵源は様々なルートがあるので、ここのローブウェイは、全く並ばず乗ることができました。(ローブウェイ乗り場までちょっと長めの階段がありますのでご覚悟ください!)
あいにくの雨で景色は霧で真っ白でしたが、上に上がるにつれ霧も晴れてきて、大きなカルスト地形の峰に囲まれ大迫力です。ロープウェイを山頂駅で降り、「天子山(てんしざん)」へ到着。あいにくの天気があい重なって、カルスト地形の峰と雲が綺麗にコラボしてくれました。山頂を少しぶらぶらしてから、シャトルバスで賀龍公園へ。この賀龍公園が武陵源の見どころひとつで、様々な形の岩が建ち並んでいます。足元に注意しながら、連なる奇観を存分に楽しみました!
この次は、アバターの世界「袁家界(えんかかい)」へ。シャトルバスで約30分ほどで到着です。ここは1時間くらいずっと歩くので、足腰に自信がない方は、入り口でカゴを持ったお兄さんに移動をお願いするといいかもしれません。担いで階段を登ってくれます^^。この日は、いつの間にか雨が止み、むしろ晴れてくるととても暑くなりました。山の天気は変わりやすいので。脱ぎ着ができる防水の服があればとても便利です。袁家界のカルスト地形で連なった奇形はただただ圧巻。まさにアバターの世界。アバターを見返してから来訪すればよかったと少し後悔・・・。写真に収めるのは無理なほどの広大な景色や、奇形から生まれた天下第一橋など、ゆく先々は見どころ満載です。地球・自然の不思議を感じる瞬間でした。
袁家界をぐるりと一周して、シャトルバス乗り場近くで昼食へ。山の上のレストランはここひとつしかないとのことで、ツアー客はみんなそこに集まるよう。その名も「アバターレストラン」。外にはアバターの像が飾られていました。料理は一般的な中華料理。たくさん歩いてから食べるご飯は格別に美味しく感じました!
食べ終わった後は、シャトルバスで武陵源の見どころのひとつ!絶壁に造られたギネス登録の330メートルのエレベーター「百龍天梯(てんりゅうエレベーター)」で山を下りていきます。エレベーターは窓側が確保できるなら絶対オススメです!峰の間をエレベーターでびゅんと下ります。エレベーターを下りて、下から見る峰も大きさを感じられ、また新鮮。そこから普通のエレベーターで更に下り、シャトルバスで出入口に戻って、武陵源の観光は終了です。
そこから、車で15分ほどで鍾乳洞の「黄龍洞(こうりゅうどう)」へ。アジア最大級の大きさを誇る鍾乳洞で、ここも絶対欠かせない箇所!個人的にオススメです。この鍾乳洞は、高さ140メートル近くもあり、1~4階の層に分かれています。水洞と陸洞が入り組んでいて、観光はボートに乗って移動します。日本のツアーはボートで鍾乳洞内を往復することが多いようですが、中国人は片道ボート片道徒歩で約2時間ほど観光しているようです。当初、鍾乳洞はどこも同じと期待していませんでしたが、見上げるほどスケールの大きい鍾乳洞とその鍾乳洞をボートで走るのは快感!また、ここの入り口は、鍾乳洞の他にも水車や花壇が綺麗に手入れをされていて心休まるスポットとなっています。
その後、15分ほどで市内に戻り、夕食後、「魅力湘西(みりょくしょうせい)」という少数民族のショーを鑑賞。少数民族のダンスや昔ながらの建物は圧巻でしたが、途中エンタメ感が溢れていたので、正直わたし好みではなかったので少し残念でした。
3-3.3日目:ガラス張りの桟道「天門山(てんもんざん)」へ
この日もあいにくの雨でした。8時頃にホテルを出て、街の南部にある「天門山」へ。車で約30分ほどでロープウェイ乗り場に到着。天門山の見どころは、なんといっても街の上を堂々と通るアジア一長いと言われるロープウェイと断崖絶壁に造られたガラスの桟道。わたしが行った日はあいにくの雨でしたが、例年9~11月はオンシーズンで雨もあまり降らないようです。
写真撮れないかもとちょっと残念な気持ちを抱えながらロープウェイ乗り場で1時間ほど並び(ピークシーズンだと2時間ほど並ぶことをあるようです。)、いざロープウェイへ!長さ7.4キロで約40分ほどかけて登るロープウェイ。地上で、下から上を見上げると霧がかかっていて全く景色が見れなかったのですが、上に行くと次第に雨も止み、写真で見てきたカルスト地形の峰たちが大迫力です。立ち並ぶ峰たちの間をロープウェイで通過し、世界の大きさと自分の小ささが感じられました、この日は、下を見下ろせば雲海が見え、却って天気が悪くてよかったと思わせてくれる景色と出会うことができました。(でも天気がいい時の景色も見てみたい!!)
山頂に着いて10分ほど歩くと断崖絶壁に造られた空中のガラスの歩道。若干高所恐怖症のわたしは、ここが歩けるかと少々不安になりながら近づいて行きました。歩く前にガラス保護のための赤い布靴を履き、いざ!!と意気込んだものの、その日は雲が多くて下が一切見られなかったので全く怖くなかったです。ただ、これは晴れていたら足がすくんでしまうのではないかと感じました。全く高いところがダメという方は、残念ですが天門山観光は迫力がありすぎてオススメできないかもしれません・・・。
ほどなく通常の桟道を道なりに歩くと、エスカレーター乗り場が出てきます。そのエスカレーターで15分もかけて山を下ります!(登るのに40分かかったから当たり前ですが...)。エスカレーターも外の景色を見ながら下れれば面白いのですが、屋内に作られているので、天門山の四季折々の美しい写真を堪能しながら下ることになります。
そして、下りた先は、峰と峰の間に自然の変化で生まれた大きな穴の空いた「天門洞」というところに到着します。霧がかかっていたので、はっきり見ることはできなかったのですが、下からこの天門洞を見上げると空まで続くような景色を堪能することができます、また、余談ですがここでは鳥人間コンテストが行われるようですよ。
そこからの下りは、999段の階段を自力で下りるかエスカレーターで下りるか。私たちは自力で降りてみましたが、階段が細くとても歩きにくいので体力に自信ない方や天候が悪いときはエスカレーターがオススメです。霧が晴れないかと天門洞を振り返りながら下りていたら、途中、少し晴れて、よくガイドブックで見るような風景を見ることができました。今回学びましたが、天門山・武陵源は山なので天候が変わりやすく、天気が悪くても運が良かったり、時間が許す限り粘って見続ければ、良い風景と出会えます。足をカクカクさせながら999段を下りて、乗合バスで40分くらい山道をくねくね下りロープウェイ乗り場まで戻って来ます。
その後、昼食を食べ、次は大自然の中に浮かぶ全面ガラス張りの橋がある「張家界大峡谷(ちょうかかいだいきょうこく)」へ。天門山から約1時間半ほどで到着します。カメラの持ち込みが禁止なので(残念・・・)、送迎車に置いて行く必要があるので要注意です。ここの見どころは、端から端までガラス張りになっている大橋。吊橋のようなイメージと中国クオリティーとでかなり恐怖なのではないかと思っていましたが、この日は観光客が多かったからか、あまり怖さを感じられなかったです。普段は橋を渡って谷へ下って遊歩道を散策できるようですが、現在工事中のため、橋を単純往復をしたのみでした。
その後は、車で約5時間かけて本日の宿泊地「鳳凰(ほうおう)」へ。途中トイレ休憩もありますが、長時間の移動なので、山登りで疲れた身体をゆっくり休ませながら移動します。鳳凰へ到着後、ホテルで夕飯を食べてから、ライトアップされる夜の鳳凰古城を見学しに行きます。古い街並みが夜になると綺麗にライトアップされ、台湾の九のようだと言われています。千と千尋の神隠しも思い出させられる雰囲気で、現地ガイドさん曰く「九の夜景より自信があります!」とのことでした。ただ、ひとつ残念なことは、川沿いに建ち並ぶお店が夜クラブとなり、音楽でかなり賑わっていたこと。せっかく風情あるのにもったいないなぁと思いました。
ホテルは、鳳凰市内にある4つ星ホテル。鳳凰市内にはここしか4つ星ホテルがなく、日本のツアーで北ほとんどの方が泊まるそうです。客室内はとても綺麗で広々しています。何よりもバスタブがついているので、山道で疲れた身体をゆっくり休ませることができるのが嬉しかったです♪
3-4.4~5日目:中国一美しい少数民族の街「鳳凰古城」へ」
ホテルで朝食(正直、ホテルの朝食はあまり期待ができないのご覚悟ください。)を食べてから、日中の「鳳凰古城」観光へ。昨晩見たライトアップされた夜景とはまた違った雰囲気を楽しむことができます。鳳凰古城は、沱江(だこう)という川沿いに広がる街で、明清代の古民家が多く残っており、今も尚、市民が普通に暮らしているところが最大の魅力です。お土産屋も多く建ち並んでいますが、買い物をしなくてもただ街並みを散策するだけでも楽しめると思います!街の中には著名人たちの生家が残されていて、その中のひとつ「沈従文(ちんじゅんぶん)」の故居が一番の見どころ!沈従文は、中国人で知らない人はいないと言われている「辺城(へんじょう)」の作者で、母親が土家族で鳳凰出身。2日目に見た少数民族のショーでも辺城が取り上げられるほど、この地域の人たちが大切に誇りに思っているんだと感じられました。
街を散策して、川沿いに行き、対岸へ続いている飛び岩をちょっとドキドキしながら渡り、様々な角度から見る街並みが美しいです。その後は、遊覧船で川を下って、鳳凰古城の入り口へ。今にも崩れそうな家々を川から見ることができます。
その後は、約5時間かけて張家界へ戻り、そのまま空港へ。夜に張家界から上海へ向かって、上海へ一泊します。張家界⇒上海の飛行機は夜のみとなるので、どうしても上海に1泊が必要となるのです。
浦東空港近くのホテルに泊まって、翌日、上海から日本への国際に乗って帰国で、張家界の旅は終了となります。お疲れ様でした。
4. おまけ 旅行の醍醐味・湖南料理を楽しもう♪
初めて行く場所のツアーだと、現地の料理が自分の口に合うのか不安になりませんか。そこで湖南料理をちょっとだけご紹介します。湖南料理は中国8大料理のひとつで中国語では「湖南菜」や「湘菜」などと表記されています。唐辛子を多用する料理なので、辛いものが苦手という方はちょっとお口に合わないかもしれません。ただ、四川の麻婆豆腐のようにしびれる辛さというより、酸味の効いた辛さで、人によっては四川料理より辛い!って感じるようです。魚料理も多く出てきますが、湖南省は海がないのですべて川魚となります。あまり食べ慣れない方は少し臭いと感じるかもしれませんが、香辛料を多くいれた魚料理は、いかにも中華料理で思わず箸が進んでしまいます。その他、作っているとすぐわかる「臭豆腐」が代表的な料理ですが、見た目が真っ黒!わたしは臭豆腐の匂いが苦手なので今まで食べませんでしたが、せっかくだからと勇気を出して食べてみたら美味しかったです。食べたら病みつきになる辛さの湖南料理。滞在中はぜひ湖南の郷土料理も楽しんでみてください。※辛いものが苦手って方も辛くない料理もあるから安心してください。
5. まとめ
張家界の天気は変わりやすく、脱ぎ着ができる雨具が必要となります。また足元も滑りやすいので、履き慣れた靴はもちろんですが、滑り止めのついている靴をオススメします。武陵源は1日で1万歩以上歩くような行程なので、体力に自信がないから行けないと思ってる方もいるかもしれませんが、日程を伸ばしたり、行く場所を調整したりして無理のないスケジュールを組み立てれば、生涯忘れられない景色を楽しめるはずです。魅力溢れる自然遺産「武陵源」。一生に一度は、ぜひ一度足を運んでみてください。
この記事を書いた人
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