世界にたった2つだけ!天然記念物の沖縄「塩川」
塩水が湧き出す珍しい「塩川」
世界的にも珍しい、塩の川。皆さんはご存知だろうか。沖縄の一大観光スポットである美ら海水族館へ行く途中にそれはある。
その川は、国の天然記念物に指定されている。天然記念物というと、生息数が減少している動物や植物を思い浮かべるが、「川」として天然記念物にしていされているのは、唯一ここ「塩川」のみである。
その理由は、その水質にある。なんと川に流れている水が塩水なのである。湧き出している水に塩分が含まれているのだ。塩水なので、もちろんなめればしょっぱい。海水が流れ込む川は各地にあるだろうが、塩水が湧き出す川というのは日本では唯一、世界で見てもたった2か所しかないというのだから驚きだ。
もう1つの塩川は、西インド諸島に位置するプエルトリコにある。沖縄とプエルトリコにしかない塩川だが、なぜ塩の水が湧き出しているのかは未だ解明されていない。地下空洞説や岩塩層説、はたまたサイフォン説など様々な憶測が飛び交っているが、決定的な根拠はまだ分からないようだ。
知る人ぞ知る天然記念物
沖縄の塩川は「スガー」と呼ばれている。全長300mあまりの、川としてはごく短い川だ。川幅も4mほどしかなく、見た目は何の変哲もないただの小さな川である。世界に2か所だけの塩の川で、天然記念物に指定されているにもかかわらず、その存在を知る人は意外と少ない。
那覇から美ら海水族館へ行く途中にあるという好立地にある塩川だが、見た目の地味さからか訪れる観光客はわずかだ。地元沖縄の人でさえその存在を知らない人も多い。したがって、混雑を避けて観光を楽しみたいという人にはうってつけの場所だ。
天然記念物という事もあり、道路に看板は出ているものの、地図でも見つけにくくあまり目立たない場所にあるので、訪れる際には注意してもらいたい。美ら海水族館に行く途中の国道449号沿いにその看板はある。
左手には美しく青い海が広がっているため、そちらに目を奪われていると簡単に通り過ぎてしまう。その辺りは、石灰岩の採掘を行っている大規模な採石場があるので、それを目印にしておくといいだろう。
塩川へのアクセス
那覇から北へ車でおよそ1時間半。「天然記念物 塩川」の看板の通りに進むと、車が数台停められる無料の駐車スペースがある。そこへ車を停め、山側へ1分ほど歩くと、小さな橋がかかった池のような場所へ出る。そこが塩川だ。係員がいるわけでもなく、観光地によくある土産物店があるわけでもない。あるのは説明書きの看板と石碑と、小さな川だけだ。
よく見ると石灰岩の隙間から水が湧き出ているのが分かる。見ているだけでは分からないので、訪れる人はみな、その水をなめてみると言う。湧いているのは塩水なので、当然しょっぱい。しかし、海水ほどの塩分濃度はないため、海水ほどのしょっぱさはない。淡水と海水の間の、汽水といったところだ。
生態系も珍しい
川の中を覗いてみると、魚が泳いでいる。ボラやミナミクロダイ、ボウズハゼなど海水魚と淡水魚が混在して生息している。魚だけでなく、生息する藻の種類も豊富だ。
現在確認されているだけでも、緑藻類が10種類、紅藻類が28種類と非常に多くの藻が生えている。アミアオサ、カワツルモ、ウスイロジュズモなどが代表的だが、特筆すべきは、日本ではここ塩川でしか見られない、シオカワモッカという種類の藻が生息しているということである。
塩川ビーチへと注ぐ川
塩水が湧き出している塩川源泉は全部で3か所あり、1日に1~3トンもの水が湧き出しているそうだ。そして、その水は下流にある塩川ビーチへと注ぐ。
塩川ビーチは、地元民に愛される天然のビーチだ。こちらも特に観光地化されているわけではないので、自然のままの姿を楽しむことができる。林もあるので、ここでキャンプをする人もいるようだ。近くの本部港から船を出して、塩川一文字と呼ばれるスポットで釣りを楽しむ人も多い。
このように塩川は天然記念物としても貴重であるが、そこに生息する生物たちも多種多様で珍しい。世界に2つしかない塩水が流れる珍しい川。話のタネに、美ら海水族館の途中に立ち寄ってみてはいかがだろうか。
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