隔絶された環境が生み出した固有の生態系!石垣島に生息する多様な野生生物たち
石垣島は、西表石垣国立公園に属する自然豊かな島です。ひとくちに「自然豊か」といっても、その環境はさまざま。中央には沖縄県最高峰の於茂登岳がそびえ、周辺は亜熱帯の森林で覆われ、海岸沿いには白い砂浜やサンゴ礁に囲まれたエメラルドグリーンの海が広がっています。
こうした多様な景観には、それぞれの環境に応じた個性豊かな生きものが生息しているのです。
多種多様な動物を支える豊かな植物群落
多種多様な動物は、多種多様な植物に支えられて生きています。まずは特徴的な植物群落をご紹介しましょう。
石垣島には、国の天然記念物に指定されている植物群落が4つあります。「平久保のヤエヤマシタン」、「米原のハエヤマヤシ群落」、「荒川のカンヒザクラ自生地」、そして「宮良川のヒルギ林」です。
ヤエヤマシタンはかつて島の各地に生育していましたが、乱伐されて絶滅が危惧されています。
荒川には、およそ300本のカンヒザクラが自生しています。石垣島のカンヒザクラは沖縄本島や奄美大島のものに比べると、花の色が淡いのだとか。
ヤエヤマヤシは石垣島と西表島だけに生育するヤシで、大きいものでは幹の太さが約30cm、高さは約25m にも達します。
宮良川の河口に広がるのは、ヒルギ科を中心とするマングローブ林。島内最大規模を誇るこのマングローブ林では、カヌーから身近にマングローブを見ることもできます。
石垣島に行ったら、ぜひその植物の多様性も実感してみてください。
生態系の頂点、カンムリワシ
次にご紹介するのは石垣島に生息する動物たち。
まず、島の生態系の頂点ともいえるのが、「カンムリワシ」です。カンムリワシは、日本では八重山地域にのみ生息する猛禽類の仲間。八重山地域の代表的な民謡「鷲の鳥節」に歌われ、石垣市の鳥に指定されていることからも、人々に親しまれていることがわかります。
また、国の特別天然記念物と国内希少野生動植物種に指定され、環境省版レッドリストでは最も絶滅のおそれが高い絶滅危惧ⅠA類にランクされています。
数を減らしている要因には、人間の活動が関係しています。島の外から持ち込まれたオオヒキガエルがもともとカンムリワシの餌となっていた動物を食べてしまったり、カンムリワシ自身がオオヒキガエルの毒液による被害を受けたりすることが心配されているのです。また、カンムリワシは道路上で轢かれた動物の死体を狙うことがあるため、交通事故に遭うケースも。
その生息を保全することが重要です。
豊かな海の象徴、ウミガメ類
石垣島の砂浜には、「アカウミガメ」、「アオウミガメ」、「タイマイ」の3種類のウミガメ類が産卵を行う場所があり、豊かな海を象徴しています。シュノーケリングやダイビングでウミガメ類に出会えることもありますよ。
しかし、砂浜環境の悪化や海岸周辺の開発によって産卵場所が限られてきてしまっている現実も。夜間のビーチパーティ等によってウミガメ類が産卵を避けてしまうこともあるそうです。産卵場所を保全するとともに、ウミガメ類と適切な距離を保ってそっと見守りたいですね。
生きものを知ることが石垣島の自然を守ることにつながる
その他にも島嶼という独自の環境に生息する個性豊かな生きものがたくさん。
例えばほ乳類では、「ヤエヤマオオコウモリ」などのコウモリを見ることができます。「ヤエヤマオオコウモリ」は、「クビワオオコウモリ」の亜種。森林の中で果物を食べて生きています。
鳥類では、「リュウキュウツミ」や「リュウキュウアカショウビン」、「キンバト」といった希少種が生息。
は虫類では、「ヤエヤマセマルハコガメ」や「ヤエヤマタカチホヘビ」、「キシノウエトカゲ」、両生類では「オオハナサキガエル」や「コガタハナサキガエル」、「アイフィンガーガエル」、「ヤエヤマアオガエル」など、紹介しきれないほど実に多様な種が生息しています。「ヤエヤマサナエ」や「オオゴマダラ」といった昆虫も忘れてはなりません。
島という隔絶された環境が、その土地にしかいない固有の生態系を形成したのです。こうした生きものたちの多様性は、石垣島が豊かな自然環境に恵まれていることの証し。しかし、ほとんどが絶滅の危機に瀕しているのが現実です。
生きものを観察する場合、その種によっては近づきすぎないなどの配慮も大切。適切な方法で島で生きものに出会い、その環境について知ることで、少しでも石垣島の自然を守ることにつなげていきたいですね。
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