今こそ考えるべき「チームビルディング」!
多様化する価値観・働き方のメンバーでも必要な結束力を養うには?
優れた成果を生み出している企業や団体は、たとえ飛び抜けた人材がいなくとも良いチームワークが発揮されている、円滑なコミュニケーションが図られ、時に助け合い、時に切磋琢磨する環境が自然と保たれているものです。
こうした理想的な社内の人間関係、グループやチームの醸成は、リーダーとしての立場にある人にとって大きな課題であることはもちろん、個々の働くメンバーにとっても気持ちよく働きたい、目指すプロジェクトを成功させたいという思いは同じなのですから、最終地点として実現を願わない人はなく、誰もが叶えたいと思っていることであるはずです。
ところが、現実には良いチームを作ること、優れた組織力を高めていくことは容易ではありません。そこで今回は、人材開発などで注目される「チームビルディング」にスポットを当て、その意義と企画の実践方法などを解説します。
チームビルディングの重要性
チームビルディングという言葉は、かつて主にスポーツの世界で用いられていました。しかし近年はビジネスにおける組織マネジメント手法として注目されることが多くなっています。
どのような業種業態の企業においても、近年は市場環境などの変化が多様かつ急速で、その中における競争は激化、事業内容も変化に応じた柔軟で幅広い専門性、他との差別化を図った展開が求められるようになっているでしょう。
かつてのような上下関係と明確な役割分担、単純な課題の達成と効率化競争といったビジネス環境であれば、上からの管理が厳格に行き届くピラミッド組織が強固に築かれれば問題なく成長を続けていくことができました。
しかし今日にあっては、課題そのものも流動的であり、個々の競争ではなくチームで作り上げるイノベーション、柔軟なコラボレーションによる発展的な結果が常に求められています。そうした中、働く人々のバックグラウンドや価値観、それに呼応した働き方も多様化し、社内コミュニケーションのあり方も変容しつつあります。
毎日同じ時間・空間を共有して声をかける、飲み会に参加する、公私共々の付き合いが終身雇用ベースの制度と相まって自然に続く、そうした時代から、現在は時間や場所にとらわれないネットワークでのやりとりが中心をなし、在宅勤務やシフト勤務、オフィス内外・部署の壁を越えたプロジェクトごとのチーム形成が一般的なものとして広がってきているのです。
さらに市場の複雑化で専門性の高い内容を取り扱い始めると、同じ企業内にあっても、チームとしての意識を持ちづらい状況が生まれやすくなります。そこで求められるのがチームビルディングなのです。
チームビルディングとは、価値観やスキル、立場を異にする多様なメンバーがひとつのチームを結成し、個々の能力を主体的に最大限発揮させながらも、全体が一丸となってある目的の達成を目指していくことができる、そうした柔軟で強い組織を作っていくためのマネジメント方法です。
現代にあったかたちで組織としての結びつきを強め、チームとしての力を最大化する、確実な成果へとつなげていく、そのためのソフトアプローチとして、チームビルディングは重要な役割を果たすと考えられます。
具体的にどうすれば?
ではこのチームビルディングを実践するには、どのような取り組みを進めていけばよいのでしょうか。まずベースには、こうした新しいかたちの結びつき、チームワークがいかに重要であり、互いのためにそれを構築していくべきと考えられること、その意識づけが必要です。
この基礎的な意識の共有が図れたら、次の段階として効果的なのは、特定の体験をメンバー全員で共有することでしょう。社員旅行や研修・合宿といったイベントを実施し、互いをよく知るきっかけとすれば、短期間で効果を得やすく、非常に有効な取り組みとなります。
対象は新入社員から中堅、経営陣まで幅広いものとすることが望ましく、業務で必要性が生じた時にも心理的ハードルを感じることなく、スムーズに良好なコミュニケーションが取れる環境を作っていくようにするのが良いでしょう。
ダイバーシティへの深い理解と建設的なディスカッションの機会増、組織としてのビジョンミッションの共有、日々の取り組みに対するモチベーションアップといった効果につながるチームビルディングが期待できます。
しかしただ旅行に出かければ良い、イベントを実施すれば良いというわけではありません。一時的な開催で参加に対する意欲・意識がバラバラなままでは、実施するだけ無駄という事態に陥りかねません。無理なく親睦を深めやすい仕組みや、互いの信頼感を醸成し個性を引き出す、それを日々の業務にもうまく反映させていく、そうした仕掛けを用意することが重要です。
できる限りメンバーの都合や属性、興味関心を考慮し、参加しやすい日程と形式で計画を立てて、普段とは違った環境に集まり、遊びとビジネス、余暇・ゲームと実践的研修を掛け合わせたものに取り組んでみましょう。
たとえば、ドミノ並べに挑戦したり、高い壁を協力してよじ登ったりといった達成感のある課題を持ち込む、推理しながらチームでミッション達成を目指す謎解きゲーム、協力し合わなければ現在位置やゴールが分からない脱出ゲームなどにチャレンジするといったプランはおすすめです。食事もチームごとにメニューから考え、分け合いながら共に調理し味わうといった体験と結びつけるのも良いですね。
こうした身体と頭を実際に動かし体験するアクティビティを導入しながら、感じたことを互いに話し合う機会を設けていくと、共に悩み、自分の役割を発揮しながらひとつのことをやり遂げる喜びを共有でき、さまざまなシーンで力を発揮するチーム作りの重要な基礎を強固に築くことができやすくなります。
この信頼感、連帯感をうまく形成することができれば、日々の業務においても活発なアイデア交換や情報共有が進み、企業全体の風通しも良くなって、社員の満足度向上と業績の改善といった効果が期待できます。想定外の危機が発生した際にも、チームとしての底力が発揮されることでしょう。
いかがでしたか。チームビルディングは成功する企業、組織作りに欠かせない取り組みです。気軽に参加しやすい旅行と組み合わせたプランで、楽しみながら自然に効果を発揮させられれば理想的でしょう。ビジネスの基礎、イノベーションを生み出す企業風土の最大資産は、なんといっても人であり、その結びつき、信頼関係にあることを理解することが、強く求められています。
(画像は写真素材 足成より)