行き先アンケートの活用で参加意識の高い社員旅行を!
一大行事の社員旅行、まずはアンケートから!
かつては社員への福利厚生、慰安旅行として企画され、名所旧跡をめぐったり、温泉地で盛大に宴会を催したりと、拡大傾向の経済を反映した華々しさをもって実施されていた社員旅行ですが、その後は、コスト削減や個人の趣味嗜好といった点に社会および企業の重点ポイントが移行、景気も後退してこうした社員旅行は年々縮小されるものとなり、長く下火の傾向にありました。
しかし近年、社員のリフレッシュできる機会を提供しながら、日々の業務にもプラスの効果をもたらすコミュニケーション深化のきっかけとしたり、チームワークを醸成したりすることができる意義深いものとして再評価が進み、新たな感性での社員旅行を企画・実施する企業が増えています。
より有意義な社員旅行とするには、まず個々の社員における参加意識を高めることが必要です。いくら素晴らしい企画を立てても、参加率自体が低い、断れない空気で顔は出しているものの明らかに嫌々参加しており全てに消極的といった状態では、狙い通りの効果を得ることはできません。円滑なコミュニケーション関係や帰属意識を醸成するどころか、職場への不満を募らせてしまうことにもなりかねないでしょう。
そこで、企画段階から皆に積極的に参加してもらい、リアルな希望が反映された魅力的な社員旅行として実施を認知してもらえるよう、工夫することが大切です。その方法として最もシンプルで有効なのは、やはりアンケートでしょう。
今回は社員旅行の幹事や担当者として、どのようにアンケートを作成・集計し、内容を決定していけばよいか、具体的に解説していきます。ぜひこれを参考に準備を始めてみてください。
やっぱり行き先は重要!
2017年にキャリコネニュースが行ったアンケート調査によると、社員旅行に「行きたい」と回答した人はわずか8%にとどまり、あまり実施意義が感じられない中、半ば強制的に時間をとられて社外でも付き合わなければならないことを嫌がる傾向がみられました。
しかし一方で、そもそもプライベートの旅行と比較するものではなく、仕事外の非日常空間における体験を共有することで、通常では得がたい団結心のようなものが生まれた気がするといった経験者の声も寄せられ、考え方次第、内容次第で、価値のあるものになることも示唆されました。
ここからも、より良い社員旅行とするには、明確な目的をもった企画の工夫と、参加者の意識付けが重要であることがうかがえます。では少しでもプラスに受け止めてもらえるにはどうするかですが、先述の社員旅行に行きたいかどうか尋ねた問いで「行き先による」とした人が27%と3割近くみられました。
企画としてまずは行き先に魅力を感じてもらい、ここなら参加してみようかなと思ってもらえるようにすると、やや消極的な人も巻き込みながらプラスに変えていくことができる、参加意識を高めやすいと考えられるでしょう。
参加意欲に直結しやすい重要な行き先が、トップや一部幹部らの意向で一方的に決められてしまうと、一般社員や若年層のニーズと乖離してしまいやすく、'行きたい'社員旅行とはなりにくいといえます。ですからここにアンケートを導入し、皆で決めていく方法をとるようにします。こうすれば、たとえ希望が通らなかったとしても、'自分たちの社員旅行'としての意識付けができ、積極的・自主的な参加態度を引き出せるようになります。
昨年までの実施状況も参考に!
アンケートを作成して実施する前に、前年の実施状況がどうだったか、幹事役をされた方などから情報を得ることもポイントです。実施時期や期間、国内か海外か、用いた移動手段、旅行先での社員の反応といった事項を中心に聞いておくと参考になります。
反省点としてどのようなものがあったか、行き先候補地として挙がったものの実現しなかったところやプラン、社で慣例となっているイベントなども、ぜひ具体的に尋ねておきましょう。
こうした情報をもとにアンケートを作成していきます。人数によっては紙媒体で実施してもよいですが、メールを用いて行う方が回答する側も手軽ですし、集計作業のデータ処理も実行しやすくなるのでおすすめです。
業務繁忙期や予算上の制約などから、すでに動かすことができない条件があれば、そのことを注意書きで示し、それ以外で希望を聞き取るアンケートとします。例として、まず何月頃がよいか日程の希望を記入してもらい、1泊2日、2泊3日など旅程をいくつかの選択肢から選んでもらう、次に行きたい旅行先を具体的に挙げてもらい、そこで何をしたいかも回答してもらうといったスタイルが考えられます。
旅行先の回答では、まず都道府県名で希望を聞き、具体的な事由記述欄で詳細に行ってみたい観光地やテーマパーク、温泉地などを挙げてもらうと、集計がスムーズです。都道府県名単位の場所希望については、第1希望から第3希望くらいまで記入してもらうのもよいかもしれません。
社員に自己負担をいくらかお願いする場合、1万円以下、2万円以下、3万円以下、5万円以下、それ以上など範囲を区切り、「どれくらいまでが望ましいと思いますか?」といった質問文で回答ストレスが過度に発生しないよう、工夫しておくことをおすすめします。
また、余興役などお願いしたい役があれば、引き受けてもらえるか尋ねる項目を加えたり、アレルギーの有無や移動時の座席、部屋割りに関する希望、特記事項として伝えたいことを記入できる欄を確保したりすれば、無理なく実施でき、個々に満足度の高い社員旅行を計画しやすくなるでしょう。最後には回答へのお礼と回答期日を明示しておくようにします。
旅行情報サイトをはじめとしたオンライン上には、専門家が作成し、無料で提供しているアンケートテンプレなどもありますから、これらを適宜活用し、自社の状況に合わせてオリジナルのアンケートとすれば、より過不足なくまとめやすいですね。
いかがでしたか。どこから手をつければいいかと迷っている方も、これで少し目途がついたかと思います。アンケートを通じて参加意識の向上、皆でつくる楽しい社員旅行というイメージ作りを図り、有意義なイベントへと導いていきましょう。
(画像は写真素材 足成より)