社員旅行先で社員が怪我をしてしまった!労災認定はされる?
そもそも、労災とは?
「労働災害」を略して「労災」といいますが、労災に該当するものには、「労働災害」と「通勤災害」があります。
通勤災害はその名の通り、通勤時における怪我等災害をいいます。そして労働災害は、業務上に起こった災害のことをいいます。業務上とは、業務を行っている時に起こった災害や業務をするためにした行動による災害のことです。
つまり、その怪我が業務上の行動に起因しているかどうかが、労災にあたるかどうかの判断基準となるのです。
社員旅行での怪我は労働災害になる?
社員旅行での怪我は労災認定されないのが基本結論からいいますと、社員旅行の怪我で労災が認定されることはほぼありません。
慰安や観光目的の旅行は業務とは無関係なので、そこで起こった怪我に対して労災は認められないのです。その旅行が業務に当たるかどうかで、社員旅行中の怪我が労災と認められるかどうかが決まります。
社員旅行を業務にあたるとみなすためには、社員の強制参加であり、不参加の場合は欠勤扱いとなること、旅行にかかる費用を会社が全額負担していること、旅行が業務を遂行するうえで必要不可欠な内容(例えば研修のための旅行)であること等があげられます。
ですから、例えば任意参加での社員旅行で観光バスに乗り、そのバスが横転して大事故となり、多くの社員が怪我をしたとしても、それが任意の参加で、観光目的の旅行であることから、労災にはあたらないと判断される可能性が高いのです。
労災は、必要な条件を満たしているかを総合的に判断して、業務中の災害だと判定されれば認められます。研修目的の旅行だとしても、その中に一部観光が含まれていて、その観光は業務と無関係だと判断されてしまえば、労災とは認められないという可能性もあります。
労災は労基署がいくつもの要素を総合的に判断するため、もし社員旅行中に事故や怪我があったとしても、会社が独断で労災だと判断することは困難です。
労災がおりないと治療や通院は全額自己負担になりますから、社員旅行中の怪我等災害には十分に気をつけましょう。酔っ払って転んで側溝に落ちて骨折したとしても、労災はおりません。
社員旅行に限らず、親睦会や懇親会といった場での怪我等災害も基本的には労災にはなりません。たとえ強制参加で経費が全額会社負担であったとしても、その目的が親睦や懇親であるならば、業務とは認められないためです。
いっぽうで、出張中の怪我等は基本的に労災認定されます。家を出てから出張先での業務と、帰宅するまでの道のりすべてが労災の対象となります。ただ、出張先で個人的な理由で出かけた先での事故や怪我、そこへ行くまでに道のりで起こった事故や怪我は業務外のものなので労災とは認められません。
例外的に労災認定されるケースただし、幹事が怪我等をした場合には労災と認められる可能性が高くなります。というのも、幹事は強制参加であることや、会社や上司から社員旅行の遂行を命じられているため、社員旅行を業務とみなすことができるためです。
全く同じとはいえませんが、幹事にとって社員旅行は出張のような捉え方ができるため、労災もその他の社員より認められやすい傾向にあります。
社員旅行中の事故や怪我に備えるには?
労災と認められない社員旅行中の怪我等に備えて、旅行保険へ加入しておくと安心です。
旅行保険は一人あたり500円程度から加入でき、旅行先での怪我や病気、物品の破損、盗難等に対する補償を受けられます。掛け捨てですから、旅行が何事もなく終わってしまえば不要なものだったいうことにはなりますが、万が一を考えて検討してみるのも良いでしょう。
社員旅行の内容や目的によっては保険料を福利厚生費で処理できるので節税にもなります。
(画像は写真ACより)