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賢く社員旅行の詳細を決める!甘く見ると税金負担増も

社員旅行をより実施意義のあるものに!

企業が主催する社員旅行には、さまざまなタイプがあります。社員が参加するまとまった人数でのツアー旅行という、一見したかたちは同じようであっても、スキルアップ研修や視察を目的とした研修旅行タイプや、日頃の業務就労をねぎらうことが主目的の慰安旅行タイプ、それらの中間に位置する楽しみながらチームワークの強化や業務スキルのアップ、教育・研修効果を目指す比較的新しいタイプのものなど、その旅行がもつ目的や意味合いにより、詳細な中身は大きく異なってくるでしょう。

社員旅行を実施することが決まり、行き先をはじめ細かな予定を具体的に決定していく段階となったら、実施目的を明確にし、どのような内容とするのが適切か見定めることはもちろん、のちの経費処理にかかる問題などまでを見据えて、企画・立案作業を行っていくことが大切です。

これら押さえるべきポイントを押さえずして進めてしまうと、何のために実施したのか分からない旅行、誰のためにもならない'負'の意味ばかりを残す旅行にもなりかねません。そこでここでは、費用をかけて行うだけの意義がある社員旅行、行ってよかったと誰もが思える旅行にするため、計画段階で注意したいポイントをまとめました。

行き先はどうする?

ただ拘束されて宴会があるだけ、つまらない観光地をめぐらされるばかり......社員旅行にそうしたマイナスイメージを抱いている人も少なくありません。実際に参加してみると、イメージと違った、同僚の新たな面を発見できたといった感想も多く寄せられますが、そうした強制的で古い社員旅行のイメージから、参加したくないと考える社員も多いのです。

このイメージを払拭できず、結果として不参加率が高くなると、全員に平等に与えられるものであることが前提になっている福利厚生とみなせなくなり、私的旅行の扱いになって経費としての計上も難しくなりかねません。まずは全員参加が目指せる行き先決め、旅程決めが重要です。

行き先では、海外か国内かがまず問題になりますが、確保できる期間や予算、社員の事情などを考慮して、どちらかを選択しましょう。視察や研修として、とくにここという場所がある場合はそれによって決定することも考えられます。

海外を選択する場合、ハワイやグアムのようなビーチリゾートや台湾、香港、マカオ、ソウルといった手軽な東アジア地域が人気です。いずれも老若男女、年代・性別を問わず幅広く楽しめるコンテンツが充実しており、日本旅行者向けのサポートも手厚くなっていることから、負担が少なく、満足感の高い旅行としやすいからです。後述する期間や費用の面でも、海外ならばこれらの行き先が適切となりやすいでしょう。

国内の場合は、北海道や沖縄は人気が高いですね。社員の参加率と満足度を高めるため、希望の行き先を尋ねるアンケートを実施して、それをもとに決めるのもおすすめです。希望が反映されたり、計画の初期段階から皆で作り上げている意識をつけたりすることで、社員旅行へのマイナスイメージや消極姿勢の雰囲気を変えていくことができます。

交通手段や旅行の期間、費用はどう決める?

社員旅行の場合、その交通手段は電車・バスの利用が圧倒的に多く、7割強を占めるといわれています。まとまった人数で利用するなら、貸切バスが有力となるケースも多いでしょう。

社内の旅行や研修で使うバスに、何を求めるか尋ねた調査の結果では、料金面が39%と最多でしたが、車内設備が次いで多い37%、集合・解散場所が18%となり、これらの点を重視する声も多くなっています。長時間の移動になる場合はとくに、設備面が旅の満足度と深く関わってきます。座席配置の工夫とあわせ、スムーズに親睦が深められ、快適に移動できるよう計画しましょう。

チームビルディングのゲームレクリエーションなどを、バス内で行うのも旅行の意義を高める上で有効ですが、そこでマイクや画面、テーブルなど、使用したいもの、あると便利なものが想定されるなら、そうした設備をあらかじめ貸切バスに求めるものとし、旅行代理店やバス会社に要望しておきます。

集合場所や解散場所は、分かりやすく混雑しにくい場所を選定、できるだけ事前に現地確認も行いましょう。当日になって参加者がそろわず慌てるといったことがないよう、周知も十分に心がけます。それでもトラブルが発生することはありますから、万が一に備え、連絡先を決めて全員に知らせておくなど対策をとっておいてください。

旅行の期間ですが、参加のしやすさや業務との関係を考えても、1泊2日、長くて2日が計画しやすいため、一般的となっています。ある調査では、およそ76%が1泊2日ともいわれます。海外の場合、もう少しまとまった期間になると考えられますが、経費計上するには4泊5日以内が目安となります。なお機中泊は含まず、滞在日数で数えます。

4泊5日を超えるような長期旅行になると、経費とすることが難しく、発生した費用が給与扱いとなり、課税対象になってしまいます。会社にとっても福利厚生費として損金算入できなくなり、参加する社員も給与がその分だけ増えた計算になって、年収が上がったとみなされ、税金負担が増加する可能性があるのです。こうした長期旅行を社員旅行で検討するケースは少ないと思われますが、計画時には注意しておきましょう。

費用として会社が負担する額にも注意が必要です。利益が上がっているからといって、1人あたりの額があまりに多額な社員旅行を計画し、経費として計上しようとすると、税務調査で指摘される可能性があります。個々ケースによって異なりますが、目安は1人につき5~7万円程度とされ、10万円を超えるような場合はリスクがあると考えてください。

社員が一部を負担し、会社負担分とあわせて実施することも可能ですが、その場合は旅行積立金として給与天引きするといった方法をとることになり、天引きを行うなら、労働者の過半数で組織された労働組合などと賃金控除に関する協定を事前に結んでおくことが必要です。こうした適切な処置がとられていないと、労働基準法違反になりますので注意しましょう。

また不参加の社員がいたとして、参加メンバーとの取り扱いが不平等になるからと、旅行費用相当額を手当などとして現金支給すると、参加者も含め社員旅行にかかった費用全体が給与扱いになり、こちらも所得税課税の対象になってしまいます。

参加者が全体の半数を割り込んだ場合も、経費計上が難しくなりますが、病気や不幸など急に参加できなくなった社員に対し、手当を不用意に出してしまったことが、思わぬ経理上の問題に発展するケースもありますので、注意しておいてください。

いかがでしたか。会社全体、参加者、取引先など、それぞれの次元における日程の調整も必要となりますから、計画立案作業には早めに余裕をもって取りかかるようにしましょう。短くとも2~3カ月は先の予定で進めます。

社員旅行を行ってよかった意義のあるもの、のちの業務にもプラスの効果をもたらせるものとし、社員の帰属意識や満足度も高められるものとするには、綿密な計画準備が大切です。専門に取り扱う旅行代理店など、プロのアドバイスやサポートも得ながら丁寧に進めていくとスムーズです。今回紹介した注意点・ポイントも押さえ、ぜひ社員旅行を成功に導いてください。

(画像は写真素材 足成より)

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